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粟田口の関所と一揆勢(第7話)

2011.06.29
 常夏と対峙しているのは、大泉勝彦(おおいずみ・かつひこ)、神保兵助(じんぼ・ひょうすけ)、村嶋弥平(むらじま・やへい)、香取順平(かとり・じゅんぺい)の4人だった。

 4人とも琵琶湖で木材を中心に舟渡の仕事をしているので、足腰はしっかりしている。木曽川周辺で採れた杉は京の有力寺社などでも重宝されている。そんな木材を楽々運べるのだから、武器なしの体術ならば、武士にも引けを取らない。

『接近戦に持ち込めば、女の子に負けるわけがない』
兵助は常夏がお腹を叩かれて、自分たちのように悶絶する姿を想像して、少し興奮した。

「えいっ!」
威勢の良いかけ声と共に、最初に攻撃を仕掛けたのは兵助で、他の男の子たちも常夏に襲いかかる。

 常夏は男の子のパンチが届く前に、長い足を生かした金蹴りで勝彦と兵助は撃退したが、弥平と順平がつかみかかってきた。そして、お腹に向かってパンチを打ち込んで来る。さすがの常夏も子宮とみぞおちを強打されて、痛そうな顔をしたが、同時に2人の金玉を握ることができた。

「ぎゃ~!」
弥平と順平は叫ぶが、常夏は力を緩めない。

「こんなので痛いの?男の子だったら、金玉くらい、鍛えなさいよ。先に潰れるのはどっちかな?」
常夏の手の中で、金玉が抵抗を続けているが、金玉は筋肉がほとんど付かず、そのまま露出しているので、女の子のやりたい放題である。

弥平:「金玉が潰れる!助けてくれ!」
順平:「参った!参った!」
男の子たちはあっさり負けを認めたが、常夏は全く力を緩めようとしない。

常夏:「女の子の大切なところを殴ったんだから、あなたたちも男の子の大切なところを痛め付けられなさいよ?」
順平:「そっちが先に金玉を叩いてきたんだろ!」
常夏:「怒れる立場かな?潰しちゃってもいいみたいね」
笑いながら、常夏は金玉を握る力を強める。しかも、少しつねるような握り方をしている。これだけで男の子の苦しみは倍になる。

 男の子たちは叫び声をあげながら、どうにかして、常夏の手から金玉を離させようとするが、常夏は握った手を離そうとしないし、暴れ回っても金玉袋が伸びるだけで、無駄な抵抗であった。
順平:「何でも言うこと、聞きますから離して下さい!お願いします!」
常夏:「そうね。服を全部脱いで、私たちに10回ずつ金蹴りさせてくれたら、許してあげても良いけど?」
順平:「それはちょっと・・・」
常夏:「金玉潰れても良いみたいね。もう子供つくれないわね」
そう言うと、副睾丸へのツメ立て攻撃へと移行した。これをやられると、どんなに強い男の武士でも数秒で失神すると評判の技である。普通の男の子が我慢できるわけがない。

順平:「こんな女の子なんかに!」
弥平:「お腹思いっきり叩いたのに、どうして痛がらないんだよ!」
副睾丸から来る地獄の痛みで気絶するまでの数秒間の間に、順平と弥平は恨み言を口走ったが、そんなことをしても金玉はなくならないし、副睾丸の痛みから逃れることもできない。

「男の子が女の子に勝てると思っているの?金玉が付いている限り、男は女の子に勝てないのよ」
 最後まで言い終わった頃、男の子は我慢できる痛みの限度を越えたのか、あっさりと気絶してしまった。これで常夏と戦った男の子は4人とも完全に戦闘不能となり、股間を押さえながら地面に転がっていた。女の子に負けた悔しさや男の意地など考えている余裕もなく、ただ金玉から来る地獄の痛みと戦わないといけないのである。

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お知らせ(2011年6月29日)

2011.06.29
色々とコメントをありがとうございます。
かわいい男の子も金玉を押さえて苦しんでいると
やっぱり、男の子なんだねと思ってしまいます・・・。

次は、神事相撲編の続きを書きますね。
粟田口の関所と一揆勢もあと少し続きますが。

粟田口の関所と一揆勢(第6話)

2011.06.27
 金玉の痛みはすぐには消えないが、宏幸は何とか数分で立ち上がれるようになった。
『相手はただの女の子なのだから、お腹を叩けば、こっちの勝ち!』と思い、必死に金玉からの痛みに耐えつつ、戦闘態勢を取った。

 しかし、金的攻撃を受けた後の男の子の撃退法は明日香の得意分野である。男の子は金玉から来る重苦しい痛みとも戦わないといけないので、ひどく動きが鈍っている。身体も硬直してフットワークが乱れているし、少し動く度に金玉が揺れて、男の痛みがぶり返してくるのだから、ますます女の子が有利な状況になる。

 男の意地で立ち上がった宏幸は、明日香に近づき、パンチを放ったが、まだ届かない。しかし、明日香の長い足は宏幸の股間にまで届く。狙いを定めると、明日香は長い足を生かして、宏幸に金蹴りを決めた。ぐにゅっと、金玉の柔らかい感覚が伝えられる。副睾丸は外して、宏幸が呼吸困難になるように蹴った。副睾丸に当たっていないとは言え、続けて金玉を蹴られた宏幸には地獄の苦しみが待っている。

「キンタマ、いて~!キンタマが潰れる!助けてくれ・・・」
宏幸は情けないこと叫びながら、うずくまったが、どうにもこうにも痛みが引かない。しかも、明日香の狙い通り、呼吸器官を沈静化させる部位に蹴りが直撃していた。一通り叫び終わると、宏幸は息が途切れ途切れになる。

「ひぃ、ひぃ、ひぃ・・・」
肺活量が大幅に減ったので、手を縛っていなくても、宏幸の行動は制限されて、女の子のやりたい放題の体勢になる。

「ずいぶん、効いたみたいね。君がバカにしていた、お・ん・な・の・こ・の・蹴りはどうだったかしら?」

「女の、蹴り、なんか・・・全然、痛く、ねーよ!」
宏幸は何とか言い切ったが、言い終わった後も息が苦しい。動き回るために空気をたくさん吸い込むが、肺が受け付けてくれない。肺は何もダメージを受けていないのに、脳が金玉への衝撃を内臓奥部へのダメージと誤解して、呼吸器官を強制的に沈静化させているのである。この点でも金的攻撃は女の子の護身術では完璧な急所だった。

「さっき、助けてとか言っていたけど、助けて欲しいの?それとも助けて欲しくないの?」
 そう言うと、明日香は前屈みになっていた宏幸に少し強めの金蹴りをする。立て続けに精密な金蹴りを受けた宏幸は完全に戦闘不能である。狙われたのは金玉のみであるが、男の子を倒すにはそれで十分だった。

「く、くそお・・・」
 宏幸は悔しそうにうめき、立ち上がろうとするが、身体が言うことを利かない。どんなに強い男の子でもキンタマの痛みにだけは敵わないのだから当然である。今、宏幸が女の子相手に苦戦している理由もその一点にある。

「金玉なんて、ぶら下げている方が悪いのよ。いつもモッコリを自慢して威張っているのに、だらしがないわね。男の子だったら、金玉くらい鍛えなさいよ?」

 宏幸が声のする方を見ると、明日香はすっきりとした股間を誇示するかのように仁王立ちしていた。女の子の身体には、金玉のような急所はどこにもぶら下がっていない。自分とは無縁の痛みに苦しむ男の子をただ楽しそうに見つめているだけだった。

お知らせ(2011年6月27日)

2011.06.27
色々とコメントをありがとうございます。
コメントやウェブ拍手はとても励みになります。

普通、男の子同士で金玉の痛みの話とかもするのでしょうか。
あと、他の男の子が金蹴りされたり、アクシデントなどで
金玉に衝撃を受けているところを見掛けた時は
わくわく・ドキドキではなく、自分まで痛くなってくるという人の方が
多いのでしょうか。
管理人は、わくわく・ドキドキ派ですが。

粟田口の関所と一揆勢(第5話)

2011.06.23
「男の子は女の子より、ずっと強いんでしょう?少しは抵抗してよ」
明日香は笑いながら言うが、男の子はそれどころではなく、地面でうずくまっているしかない。

 金玉を2回叩かれただけで、宏幸の呼吸機能・消化機能・生殖機能は完全にダウンさせられた。元々、大切な場所だから男の子に守ろうとする気持ちを持ってもらうために、金玉はどこよりも痛く感じるようになっているのであるが、金玉を軽くでも攻撃されると男の子は自分の身体すら、守れなくなってしまう。

 宏幸はしばらく立ち直れそうにもないので、明日香は別の男の子に対象を移すことにした。周りを見てみると、どの男の子も苦しそうに股間を押さえて、悶絶していた。金玉の痛みは、女の子は一生経験することがない男の子だけの苦しみなのである。男の子の象徴なのに、急所なのだから、女の子にとってはますます興味が湧いてくる。

 常夏は男の子4人を相手に金的攻撃を展開して、完全に無力化していた。体格も筋肉の付き方も男の子の方がずっと上であるが、金玉だけは弱かったのである。

明日香:「常夏、そんなに強くやっていたら、本当に金玉が潰れちゃうわよ?」
常夏:「えー?金玉の逃げ場所があるように、やっているから大丈夫よ。男の子にとっては苦しいでしょうけど」

 そう言うと、常夏は再び、実践体術の木刀で、金的攻撃を行った。男の子は前屈みで金玉を大切そうに押さえているが、手の上からでも金玉への攻撃は十分有効である。4発とも金玉直撃で、木刀を通じてグリッという感覚が伝わってくる。固い身体の男の子でも、金玉だけは柔らかいのである。

 何度も繰り返し急所攻撃を受けた男の子は、男に生まれてきたことを後悔しながら、前屈みになって、うずくまるしかなかった。本当は地面に寝そべって、仰向けになるのが1番楽な姿勢であるが、それでは女の子に金玉を攻撃して下さいという格好なので、できないし、うつぶせになると、今度は金玉が地面と身体に挟まって苦しいので、この寝方もできない。

 そんな金玉の痛みに苦しんでいる男の子を見て、常夏はついときめいてしまう。
「男の子の身体って、厄介なものね。ほーら、私の股間はすっきりしているでしょう?金玉付いていないのよ?」
そう言うと、常夏は実践体術の木刀で自分の股間を何度も叩いて見せた。木刀が勢い良く股間に当たるが、常夏は余裕で痛そうな表情もしない。

 そんな光景を見せつけられた男の子たちはほとんど勝てる気がしなくなった。男の子と女の子は全く違う生き物なのである。女の子の身体は内面的にできていて、金玉のような急所はどこにもぶら下がっていない。

「う、うっ」
男の子はもう叫び声を挙げる気力もなかった。脳からはうずくまるように命令が来るし、呼吸器官も強制的に沈静化させられているので、息をするのも苦しい。今まで身体能力の高い男の子に生まれてきたことを誇らしく思っていたが、そんな想いはあっけなく壊されてしまった。

 女の子にあっけなく戦闘不能にさせられてしまった男の子たちは何とか、女の子に復讐をしたいと思い、考えをめぐらせた。やがて、苦しみながらも『女の子もお腹だったら、痛いはず』という共通の結論に行き着いた。

 女の子のお腹は子供を育てる子宮があって、痛感神経が集中しているのだから、金玉と同じ急所のはずである。実際、お腹を叩かれて、そのままうずくまってしまう女の子の姿もよく見掛ける。

 女の子のお腹を攻撃するのは卑怯だという考えも頭の片隅にあったが、今の情況を打開するには、こちらも女の子の急所を狙うしかない。急所攻撃には急所攻撃で返すしかない。そう決断した男の子たちは金玉から来る地獄の苦しみに必死に耐えながら、立ち上がろうと、もがき始めた。

 そんな様子を見て、男の子の意図を読み取った明日香も実践体術の技をもっと試したくなってきた。
「かわいそうだから、縄は外してあげるね。私と勝負しよう?」などと言い、宏幸の両手を縛っていた縄を解いた。

粟田口の関所と一揆勢(第4話)

2011.06.23
 一揆勢の首領格は、大津宏幸(おおつ・ひろゆき)という農民だった。農作業の合間に近江から京まで木炭を売りに出掛けているので、身体は良く鍛えられている。そこら辺の武士だったら、簡単に投げ飛ばせるほどの体力がある。

 しかし、明日香の急所攻撃を受けて、今はそれどころではない。男の子の唯一の長所である身体能力の高さは完全の封印されてしまうのである。宏幸は男の意地で立ち上がろうと何度も強く思ったが、身体が言うことを利かない。副睾丸に受けた攻撃を脳が内臓奥部への衝撃と判断し、強制的に男の子をうずくまらせているのである。どんなに強い男の子でも、脳から来る構造的な命令には逆らえないのだから。

 一応、首領格の男の子なので、明日香は宏幸の両手を縄で縛った。宏幸は抵抗したが、強烈な急所攻撃を受けた直後なので、ほとんど力が入らない。

明日香:「1回叩かれただけで、だらしがないわね。男の子だったら、金玉くらい、鍛えなさいよ?」
宏幸:「男が女なんかに負けるわけがねーだろ!」
金玉から来る痛みに耐えながら、宏幸は怒鳴った。
明日香:「そうなんだ。それじゃあ、もっと狙っていくわね。男の子と女の子が本気で戦ったら、どちらの方が強いのかな?」

 そう言うと、明日香は前屈みにうずくまっていた宏幸の足と足の間を平手打ちにしてみた。もちろん、そこには大切な男の急所がぶら下がっている。

「ほぎゃ~!」
宏幸は再び、情けない悲鳴を挙げた。今度は金玉本体を狙った攻撃である。副睾丸とはまた違った痛みが宏幸を襲う。金玉に受けた衝撃を脳は内蔵中枢部への衝撃と判断し、本来は関係のないはずの消化器官にまで沈静化の命令を出すので、何とも言えない吐き気までこみ上げてくるのである。

「う、うっうぇ」
いかに鍛え抜かれた男とは言え、金玉だけは鍛えることができないのだから、女の子からの急所攻撃には苦戦してしまう。
「男の子って、不思議ね。お腹を狙ったわけでもないのに、気持ちが悪いの?」
「うるせー!」
宏幸は怒鳴るが、自分が金玉を持った生き物だと言うことを思い知らされた瞬間だった。

 2回も続けて金玉を叩かれ、宏幸は息もできないほどの激痛に襲われた。攻撃を受けているのは金玉だけであるが、金玉には生殖機能維持のために重要な神経が集まっている。
 宏幸が苦しそうに息をしているのもそのせいで、呼吸器官にまで沈静化の命令が出ているのである。男の子には、胃と肺を同時に攻撃されたのと同じ苦しみが与えられるのだから、どんなに強い男の子でも我慢できない。

「こんな軽い攻撃なのに、そんなに痛いの?男の子だったら、少しくらい、我慢しなさいよ?」
「く、くっそう・・・」
宏幸は悔しそうにうめくが、金玉から来る痛みには敵わないし、息をする度に、肺まで痛くなる。日頃鍛えている筋肉も分厚い胸板も、金玉から来る痛みには何の役にも立たなかった。

お知らせ(2011年6月23日)

2011.06.23
コメントを色々とありがとうございます。
コメントやウェブ拍手をもらうと、とてもうれしいです。

前回にお知らせにも「補足」で入れましたが、
神事相撲の話も続きます。
実を言うと、「守護大名との抗争」も続きがあったりします。
師範との試合に行く前に、男の子が女の子2人との試合で負けてしまいましたが、
時子と勝久の勝負も書いてみたいです。

粟田口の関所と一揆勢(第3話)

2011.06.17
 大将首の概念がないとは言っても、首領的存在はいる。1番身体が大きくて喧嘩が強そうな子だった。明日香はその男の子に狙いを定め、歩く度にぶらぶらと揺れているはずの金玉を想像して少し興奮した。お腹は腹筋で、拳は固い骨で守られているのに、生殖で1番大切な金玉だけはとても無防備なのである。

 明日香はここにいるのが当然という感じで、首領格の男の子に近づいた。これも明日香の特技の1つである。内裏や関白邸・花の御所まで入ったことがあるらしい。そして、明日香は、持っていた実践体術の木刀で足と足の間を思いっきり叩いた。狙いは正確で副睾丸直撃である。しかも、金玉は2つとも木刀と恥骨の間に挟まれて、金玉の逃げ場所はない。

「うっ!」
男の子は持っていた角材を投げ捨て、手で股間を押さえてうずくまったまま、立ち上がれない。男子最大の急所を攻撃されたのだから当然である。脳は副睾丸への攻撃を内臓奥部への衝撃と判断して、男の子を強制的に沈静化させるのだから、護身術には完璧な急所だった。

 ついでに、明日香は間を置かず、突然の出来事に棒立ちしている周りの男の子たちにも実践体術の木刀を叩き込んでみた。もちろん、真下から金玉をたたき上げられた男はしばらく立ち上がれない。金玉はどんな男の子でも平等に地獄の苦しみを与えるのだから。

「金玉の痛みはどうだったかしら?」
明日香が尋ねてみるが、男の子は苦しくて答えるどころではない。ただ、股間を押さえて、地面をはうしかない。

 明日香は改めて、自分のすっきりとした股間を見て、『女の子で良かった』と思った。女の子の身体には金玉のように痛みを感じやすい急所は付いていないのである。

 明日香が周りを見回すと、他の女の子たちも実践体術の木刀で男の子たちの股間を攻撃したらしく、男の子たちは苦しそうにうずくまっていた。いつもの道場ならば、かなり手加減をして金的攻撃を行うが、今回は人数差があったので、手加減せずに思いっきり遠心力で男の子の股間を叩き付けて悶絶させている。

 男の子が15人いて、金玉は30個あったはずだが、女の子の急所攻撃に耐えられた者はいなかった。みんな実践体術の木刀で戦闘不能にされてしまったのである。普通に戦えば、人数でも身体能力でも勝る男の子の勝ちだったであろうが、金玉から来る痛みにだけは敵わなかった。

明日香:「金玉、やられた時って、みんな同じなのね」
時子:「副睾丸は外して、金玉も逃げ場があるように叩いた方が良かったかな?」
明日香:「吐き気は金玉本体の方が強いみたいだから、少しずつ苦しめたいなら、金玉を中心に狙った方がいいわね」

 そんな会話を聞いた男の子たちは底知れぬ恐怖に襲われた。男の急所を熟知した女の子が男の子を倒すだけに編み出した実践体術の実験台になっているのである。そこには、武士の情けも男同士の不文律もなく、自分の身体の1番弱いところで、女の子からの急所攻撃を受けないといけないのであった。

粟田口の関所と一揆勢(第2話)

2011.06.17
 相手が武士だと、命の取り合いになってしまうが、一揆勢ならまともな刀を持っているのは庄屋以上の豊かな農民に限られ、多くの者は丸太や棒くらいしか持っていない。

 日頃、つらい農作業で鍛えている身体は惚れ惚れするくらい、バランス良く鍛えられて、体付きまでしっかりしている。まさに男という感じのたくましさである。しかし、そんな男たちにも弱点はある。男であるがゆえの弱点と言った方が適切かも知れないが、足と足の間には金玉がしっかりと付いているのである。ここを叩かれたり、蹴られたりすると、男の子はとても苦しい思いをすることになる。金玉は神様が男の子だけの急所なのだから。

 粟田口は東国への連絡口で、関東や奥州で事変が起こった場合、すぐに早馬が着く体制が整っている。そこをお膝元から揺るがされては幕府もたまったものではないはずだが、今の幕府はあまり重要視していない。一揆勢と戦っている今も、関銭を取って行商人や旅人を普通に通している。

 しばらく離れた山中で、時子は攻撃対象とする一揆勢の見分けを行っていた。時子の部隊は4人しかいないので、そんなに大勢の敵は相手にできない。そういう敵は別の奉公衆が退治してくれる。時子たちの目標は軽武装で、数人から十数人程度の集団である。

 山に入って一刻ほど経った。山のふもとでは散発的に戦闘が行われていたが、幕府側も少し戦ったら、撤退をするという戦術を採っているので、一揆勢の行軍が大幅に滞ることはなかった。村ごとに編成された一揆勢がバラバラに通って行く。

常夏:「あの子たちはどうですか」
常夏たちの目線の先には若い男の子たち15人の集団があった。
鈴与:「少し多すぎない?」
常夏:「でも、刀とか槍は持っていないみたいだし」
たしかに、刀や槍は持っていない。丸太や木の棒などを持っているだけだった。おろらく、普通の農民たちであろう。
明日香:「時子、どうする?」
そう言ったのは、綿貫明日香(わたぬき・あすか)。本来、明日香は奉公衆関係の者で、時子と直接の主従関係はないが、男の子が金玉を押さえながら苦しむ姿を見るのが好きなので、ここまで来ている。
時子:「やっちゃおうか」
明日香:「うん、やっちゃおう」
これで攻撃目標が決まった。
そうとは知らず、一揆勢の男の子たちは血気盛んに行軍を続けていた。行く手に待ち受ける地獄の苦しみも知らずに。

粟田口の関所と一揆勢(第1話)

2011.06.17
 室町時代の京は局地的に治安が乱れる。南朝側の残党が内裏や将軍邸を襲撃したり、一揆勢が土倉や酒屋を襲撃したりする。特に問題だったのが、1443年9月の内裏襲撃事件である。この時、南朝再興を企てる者が後花園天皇殺害と三種の神器強奪を計画し、京の各地で戦闘を繰り広げた。結果として、北朝側が鎮圧したが、一時的であれ、三種の神器は奪われ、後花園天皇は女官の服を着て、大納言の屋敷経由で関白邸に避難するなど朝廷・幕府は激震に襲われた。

 室町幕府の奉公衆(将軍直轄軍)には一芸に秀でた者が多い。1日に20里を完全武装で走破し、そのまま戦闘を行える者や夜間に弓矢で30間先の大的に外さず命中させる者など神業級の武士が大勢いる。

 時子の場合、その特技が男の子への急所攻撃だった。当時はまだ鉄砲伝来前で、兵数がそのまま戦局に響いてくる傾向が強いので、一揆勢も大勢力となり得た。いくら武芸に秀でた武士でも首を3つも挙げれば、刀が使えなくなるし、通常、常備している刀は2つくらいなのだから、数千・数万の一揆勢には苦戦する。もちろん、刀ではなく槍を使っても良いが、槍で敵を衝いて即死させるのは名人でも困難だった。

 そこで注目されたのが実践体術である。一揆勢の首をいくつ挙げてもほとんど恩賞の対象にはならないのだから、相手を戦闘不能にさせるだけで十分なのである。一揆勢のほとんどは男なのだから、金的攻撃に特化した実践体術が非常に有効だった。

 この日、時子は粟田口方面から来る一揆勢を迎撃するために出陣していた。奉公衆の本隊は粟田口の関所を守っている。一揆勢が関所にたどり着く前に敵を少しでも減らすことが命題であった。

 時子の父親は花の御所に詰めているので、時子が粟田口方面に連れてきたのは3人の女の子だけである。一揆勢などは放って置いても、土倉が襲撃されて借金の証文が奪われるなどすれば、数日で退散するので、進んで前線に出ることを希望する者はほとんどいない。しかも、前述した通り、仮に一揆勢の首をたくさん挙げたとしても、大将首という概念がないので、恩賞もほとんど期待できない。めざましい手柄を挙げても、将軍から扇か硯箱(すずりばこ)をもらうのが関の山である。

 しかし、時子にとっては実践体術の実験をする絶好の機会であった。どんな風に攻撃すれば、男の子をより痛がらせることができるかを確かめられるのである。しかも、きちんと武装をしている者もほとんどいないので、実践体術の真価を発揮できる。