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出生前診断

2013.11.24
 新型出生前診断が男女の産み分けにも使用されるようになり、親の希望通りの性別の子どもが生まれることが当然となりつつあった。出産に当たり、子の性別について、こだわりを持つ親にとっては、心配事が1つ減ったことになる。

 未だに運命に任せるとして性別を選ばない親もそれなりにいるが、子どもを野球選手にしたいとか、女優にしたいとか、強い希望がある親にとってはこれ以上、便利なことはない。

 四条学園は、スポーツ選手養成の名門校である。最近は女性スポーツ選手の活躍も目立ってきているが、多くは男性選手である。やはり、男子の方が身体能力が高いし、筋肉も付きやすい。こういった事情から、子どもをスポーツ選手にしたい親は出産に当たり、子の性別で男子を選択することが大半である。

 だが、女子を選ぶ親もいる。玲奈(れいな)の親、雅也(まさや)もその1人である。玲奈の父親は有名なプロレスラーだ。基本的に、プロレスは男女別の試合だが、時々、女子レスラーと戦うこともある。男女混合戦の時はあくまでもショーの意味合いが強いが、男にとっては恐怖の試合だ。

 プロレスをやろうとする女子は性格でも男子に負けていないし、柔軟な身体を生かした急所攻撃を主体にして攻めてくる。普通の試合なら金的を狙ってくる相手なんていないし、故意に金的攻撃する相手は反則負けになる。しかし、男女混合戦の場合は違う。女子レスラーは積極的に金蹴りしてくるし、審判もそれくらいハンデと思って反則負けにはしない。

 女子レスラーに負けるのが屈辱的だと思う男たちは研究を進めた。顔面を猛攻撃して金的攻撃される前に決着を付けるとか、腹部への集中攻撃で戦意を喪失させるとか、色々な案が出された。身体能力の高さを生かして金的攻撃に持ち込ませずに数秒でKO勝ちすれば良いと言う考えである。

 だが、女子も負けてはいない。上記のような戦法は逆に言うと、男子には金玉を守る絶対的な方法がないことを意味する。つまり、最初の数秒間を逃げ切り、カウンターで男子の股間を金的攻撃すれば、断然、女子が有利と言うことになる。

 雅也も試合で何度か経験している。最初の数秒間で勝負を着けられないと、今度は男子が攻撃を受ける番になる。しかも、勝負にこだわる女子は急所ばかり狙ってくる。雅也は必死で守るが、女子のパンチを手で守ると、ガラ空きの股間を蹴られるし、女子からのキックを守ると、必然的に股間の蹴り合いとなってしまう。

 足と足の間に金玉をぶら下げた男子が、すっきりとした股間を持つ女子として股間の蹴り合いをして勝てるわけがない。

 特に女子レスラーやすえとの試合は男性レスラーにとって、恐怖そのものである。金蹴り女として名高いやすえの攻撃は的確で、歴戦の男性レスラーでも股間を守り切れた者はいない。

 金玉を下から上に突き上げるような衝撃を感じた時、雅也は思わず、両手で股間を押さえる。そして、数秒後、凄まじい激痛に襲われる。『神様、助けて下さい・・・』と祈るが、その願いが届いたことはない。

 金玉は男子が強くなりすぎるといけないから、神様がわざと作った急所だし、出産に必要な精子を一時的に保管できればそれでいいと言う考えしかないから、無防備に露出している。しかも、露出している場所が足と足の間と言うとても蹴りやすい場所である。

やすえ:「雅也も金玉蹴ったら、痛いのね」

雅也:「ひでえな。男の急所だぞ」

やすえ:「良いじゃないの。筋肉あって大きな図体をしているんだから、少しくらいキンタマ蹴られても平気でしょう♪」

 やすえは明るく言うが、男子にとっては苦痛そのものだし、いつ果てるとも知れない地獄の苦しみである。

 雅也はこの点を考慮し、子どもは女子にし、徹底的に男子選手の急所を攻撃させる方針を採った。その結果、誕生したのが玲奈である。

 玲奈は負けず嫌いだし、性格的にも男子に負けていない。運動神経は並みの男子を遙かにしのぎ、数々の金的攻撃をマスターしている。男子にとっては恐ろしい女子である。

 この日は男女が実践で戦う日だった。100メートル走や重量挙げなどと言った定量化できる検査結果はすでに出ているので、実際に戦ったら、男と女のどちらが強いかを決める試合である。

 男子のドレスコードは短パン、女子はブルマで行われる。動きやすさを重視したスタイルで、短パンの隙間から金玉が見えるとか、身体の線が出てしまうなどと言ったことはほとんど考慮されない。

 対戦相手の男子は彰平(しょうへい)だった。テニス部の主将で、運動神経も良い男子である。その上、かなりのイケメンで、女子にもモテる。ただ、クールというか、女子に対して冷たいところがある人物である。

「試合始め」

 審判の声で試合が始まった。柔道や空手と違って、この試合にルールは特にない。倒れたまま10秒立ち上がれなかったら、負けというルール位しかない。

彰平:「おりゃあ!」

 彰平は猛烈な連続パンチを放つ。素早さも腕力も彰平の方が数段上で、玲奈は逃げ回るしかない。

 女の子特有の身体の柔らかさを生かして、何とか避けきっているが、こちらからも攻撃しないと後がない。

彰平:「どうせ勝ち目がないなら降参しろよ!」

玲奈:「そっちこそ、いい加減に私のことを捕まえてみればどう?キンタマ付いているくせに情けないわね。トランクスの中でブラブラさせているだけなの?」

彰平:「くそ、いい気になりやがって!」

 彰平は一気に勝負を着けようと玲奈に向かって突進する。

 接近戦での殴り合いに持ち込ませないために、身体をかがめたり、左右に飛び跳ねたりして避けまくるが、彰平の俊敏さの前に2人の距離はどんどん縮まっていく。

彰平:「これで終わりだな」

 彰平は大きく振りかぶって右手の拳を玲奈の顔面めがけて放つ。

 だが、玲奈は一瞬早く避けて、しゃがむと、逆に彰平の股間にパンチを食らわせた。パンチが命中した時、2つの柔らかい感触があり、玲奈は攻撃が成功したことを確信した。

 その瞬間、彰平の動きが止まった。最初の3秒くらいは無表情だったが、すぐに「ぐ、ぐう!!!」とうめきだし、両手で股間を押さえて前屈みになってしまった。

玲奈:「軽くパンチしただけだけど、そんなに痛かったかしら?」

彰平:「く、く、おまえ・・・」

 彰平は玲奈のことをにらみつけ、殴りかかりそうな表情をしたが、両手を股間から離すことができない。それもそのはずで、玲奈のパンチは彰平の副睾丸を直撃したのである。副睾丸は金玉本体以上に痛感神経が集中している急所中の急所で、人が感じる痛みとしては最大のものである。

 元々、精子は熱に弱いので、金玉と副睾丸は陰嚢に入れて男子の足と足の間にぶら下げる形を取っている。内臓の一部を外部に露出させると言う危険極まりない形式だが、生殖活動の維持の方が最優先事項だから仕方がない。代わりに、男子は金玉・副睾丸を急所とし、どこよりも痛く感じさせる仕組みにした。そうすれば、必然的に男子は金玉・副睾丸を大切にせざるを得ない。

 だが、それは脳や心臓が危機に瀕しても、股間の防御の方を優先させることになってしまう。それでも、男子に力強さを与えてくれるのは金玉が作る男性ホルモンだし、変な性欲が沸くのも金玉の男性ホルモンのせいなんだから、それなりの報いである。

 今、その報いと彰平は闘っているのである。

玲奈:「どうしたの?もう動けないの?」

彰平:「ふざけやがって!」

 彰平は玲奈のことを殴りつけようと背中を挙げようとするが、身体が言うことを利かない。その上、息が苦しくなって、何とも言えない吐き気までこみ上げてきた。

玲奈:「無理、無理。男子って、キンタマをやられるとどうしようもないんだから、おとなしく、股間を押さえてうずくまっていた方が身のためよ♪」

彰平:「そんなこと、ねーよ!女子なんかに負けるわけがないだろ!」

玲奈:「あら、あら、まだやる気なの?私は構わないけど、赤ちゃんができなくなっても知らないわよ?」

 そう言うと、玲奈は彰平の短パンの隙間から金玉を握った。女子に金玉を握られるなど想像もしていなかった彰平は抵抗をする隙もないほど、一瞬の出来事だった。これで、彰平の男としての運命は全て玲奈の思いのままである。

 玲奈は少し金玉を握る手に力を加えた。

彰平:「う、うおっ!!!」

 思わず、彰平が悲鳴を上げる。今、男の1番大切なところが大ピンチなのである。その上、玲奈は彰平の戦意を喪失させるため、金玉を強弱つけてリズミカルに握る。強弱をつけて握られると、男子はかえって対応に困るらしい。

玲奈:「男子って身体は大きいのにキンタマって小さいのよね」

彰平:「女がキンタマなんて言うなよ!」

玲奈:「えー、男子だって、普通、キンタマって言っているじゃないの?」

彰平:「女のくせにキンタマを握るなんて最低だぞ!」

玲奈:「女の子に手を挙げる男子の方が最低だと思うけど?キンタマの痛みはどうかしら?」

 そう言うと、玲奈は金玉を握る手にさらに力を加える。

彰平:「げっ、ぐほほ!!!」

 彰平は情けない悲鳴を上げて、この痛みから逃れようと身体を激しく動かすが、金玉袋が伸びるだけで無駄な努力である。

玲奈:「男はキンタマを握られた時点で女の子には勝てないのよ♪」

彰平:「くそ!」

 彰平は悔しがって、逆に玲奈の股間を握った。男女で股間の握り合いである。握力なら、彰平の方が圧倒的に上だし、男の力で思いっきり握られたら、さすがの玲奈も痛がるはずだと言う想いが彰平にはあった。

 だが、玲奈は余裕の表情で動じない。

彰平:「なんで痛がらないんだよ!?」

玲奈:「そんなので痛いわけがないでしょう。それに、私、女の子なんだから、男子みたいに、きたないキンタマなんて付いていないのよ?」

彰平:「この野郎!」

 激痛の中、彰平は全力で玲奈の股間を握るが、玲奈は全く痛がらない。日頃のきつい練習で右手の握力は80キロ出るようになったが、対戦相手の女子には全く通用しないのである。

 男子が痛みに敏感な金玉をぶら下げているのと違って、女子の股間には何もぶら下がっていない。出産に大切なところだから他の部位よりも丈夫にできているし、出産時の痛みの備えて、痛みを極力感じにくくなっている。男子が全力で握ってきても、逆にくすぐったい位である。

彰平:「ぜーぜー、くそ・・・」

 彰平は悔しがるが、玲奈は余裕綽々だし、金玉から来る重苦しい痛みが戦意を奪っていく。さらに脳からは「うずくまって金玉を守れ!」と命令が届いて男子を強制的に沈静化させようとする。

玲奈:「こんな小さなキンタマのために苦しまないといけないなんて、男子って可愛そうね。もう終わりにさせてあげるわ」

 そう言うと、玲奈はツメを立てながら、男子からひっこ抜くように金玉を引っ張った。

彰平:「ぐおおお!!!!!」

 これまで経験したことのないような激痛を彰平を襲う。女の子の護身術として、よく使われている方法で、副睾丸ひねり潰しである。いつまでも負けを認めない生意気な男子や性犯罪者をその気になれば10秒以内に気絶させられる便利な方法である。もっとも最近は、浮気した彼氏に気絶寸前の苦しみを与える目的で使われることが多いが。

彰平:「ぐっええ!!!」

 彰平は情けないこと叫びまくると、痛みが限度を超えたのか、そのまま気絶してしまった。

玲奈:「14秒しか保たないなんて、男子ってみんな弱いわね」

 玲奈は彰平の金玉から手を離し、頭を数回撫でると、審判にあいさつして、その場を去って行った。



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お知らせ(2013年11月24日)

2013.11.24
色々とコメントやウェブ拍手をありがとうございます。
コメントやウェブ拍手は、とても励みになります。

出生前診断の読み切りを書いています。
たぶん、今日中には更新できると思います。

先日、コメントをくれた金的イラストのブログの管理人さん、コメントありがとうございます。
とてもよく描けています。
イラスト付きのブログをやっている人はすごいと思います。
私は全然、絵が描けません。

極月の天使(第42話)

2013.11.04
 孝が土俵に経ってから5分も経っていないが、孝側の男子3人は全員悶絶してしまった。いつもの裕大だったら絶対にできないことが風美には簡単にできるのである。風美に限らないが、少し金的攻撃に慣れている女子だったら、男子を倒すことくらい造作もないことだ。

風美:「男のくせにだらしがないわね。私が立たせてあげる♪」

 そう言うと、風美は大祐を後ろから抱き上げた。孝と康平は大柄で持ち上げる自信がなかったからだ。それでも、大祐はサッカーをやっているし、筋肉質で、小学生ながらも男らしさを感じさせる身体だった。

 一方、風美に抱き上げられた大祐は、自分たちが戦った相手が裕大でないことに気づいた。裕大の身体がこんなに柔らかいわけがないし、胸の膨らみまで背中に感じる。

大祐:「もしかして風美ちゃん・・・?」

風美:「やっと気付いたの?」

孝:「風美だって!?」

 両手で股間を押さえながらも孝が声を上げる。小学校低学年の頃、年が1つしか離れていない風美は弟の友達ともよく遊んでいた。その頃からガキ大将気取りで威張っている孝に時々、金的制裁を食らわせてきた。

 同級生の女の子のスカートをめくりまくったり、弱い男の子をいじめて、我が物顔の孝も風美の急所攻撃には敵わず、いつも負けていた。

 孝が力任せにパンチをしまくってくれば、パンチが届く前に長い足を生かした金蹴りを食らわせるし、掴みかかってきたら逆に金玉を握りしめてやった。これだけで、孝は地獄の苦しみに襲われて何もできなくなってしまう。

風美:「よくも裕大のことをいじめてくれたわね。たっぷりお礼をしてあげるから♪」

大祐:「俺は別にいじめてなんていないよ・・・」

風美:「そうだったの?それじゃあ、さっき、女の子のことを蹴った罰で連続金蹴りの刑ね」

大祐:「それは勘弁して!」

風美:「勘弁なんてないわよ。女の子に暴力を振るったんだから。大祐も大切なところを蹴られなさいよ」

 そう言うと、風美は大祐の後ろから膝金蹴りを決めた。男子にとっては、このアングルからの蹴りが1番効く。なぜなら、後ろからだと蹴りが副睾丸に直撃しやすくなるためだ。しかも、真下の方向から蹴り上げられると、風美の膝と大祐の恥骨の間で金玉がプッシュされるため、男子は余計に苦しむ。

大祐:「ぐ、げえ~!!!」

 大祐は悲鳴を上げてその場に倒れ込んだ。副睾丸に受けた衝撃を脳は内蔵奥部への衝撃と錯覚し、男子にうずくまるように命令を出す。脳が出す至上命令だから、どんなスポーツマンでも抗うことはできない。プロ野球選手が股間にボールを受けてうずくまって動けなくなってしまう原因もこの一点にある。

 身体が大きくて、スポーツ神経抜群の野球選手がプロテクターを着けていても、股間にボールが当たったら途中退場を余儀なくされるのだから、小学生の男の子がこの苦しみに耐えられるわけがない。大祐は両手で股間を押さえて地面を転げ回るしかない。

風美:「男だったら、もっと抵抗してよ。あ、でも、男だから我慢できないの?」

大祐:「く、くそ~」

 大祐は悔しがって、何とか立ち上がろうとするが、身体が言うことを利かない。しかも、激痛と共に脳からは「うずくまれ!」と命令が来る。『金玉さえなければ、女子なんかに負けないのに!』と強く思うが、金玉はなくならないし、重苦しい痛みが大祐から戦意を奪っていく。

風美:「キンタマなんて付いていても邪魔なだけでしょう?あんな小さいタマタマのために苦しまないといけないなんて、男子って可愛そうね♪」

 自分は被害を受けることなく、サッカー少年を戦闘不能にできた風美は得意気で、物理的にも精神的にも追い詰められた大祐はほとんど勝てる気がしなくなった。



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お知らせ(2013年11月4日)

2013.11.04
いつもコメントやウェブ拍手をありがとうございます。
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とりあえず、極月の天使を1話分更新しておきます。
次回、大祐にはもっと苦しんでもらいます。
(もしかすると、うれしがるかも知れませんが)

世間が3連休だと言うのに私は仕事でした・・・。
小説を書くにはある程度、仕事から離れないと書きにくいですし
リードタイム(?)が必要だと思います。
仕事をしながら、難しい資格を取ったり
次々と本を出版する人は本当に偉いと思います。

お知らせ(2013年11月2日)

2013.11.02
色々とコメントやウェブ拍手をありがとうございます。
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「ペガサス座の箱庭」・「極月の天使」の続きが見たいという意見が
多いのに放置していて申し訳ありません。
出生前診断をテーマに1つ読み切りを書こうかなと思っています。
まあ、「ペガサス座の箱庭」や「極月の天使」の中に入れても
違和感のない話ですが、概略はだいたい以下の通りです。

 出生前診断で男女の産み分けは許容されるようになったが、運動神経や各種能力を高めた子どもを産ませる技術はまだ未発達な社会が舞台です。子どもをスポーツ選手にさせたいと願う親は、男の子を鍛えて訓練させる派と身体能力は劣っても女の子を訓練させる派にわかれています。

 現在は前者の親がほとんどでスポーツ選抜クラスはほとんど男子。しかし、後者の親は「男の子なんて金玉を蹴られたら簡単に負けちゃうんだから身体能力は低くても女の子に訓練をさせて、スポーツ選手を養成した方が有利」と言う考えです。
 そのどちらの方が正しいか、試合で勝負する話です。