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室町期農村の急所訓練(第3話)

2010.06.22
   室町期農村の急所訓練(第3話)

 佐吉はお雪に1発金蹴りをされただけで、動くことすらできず、
ただうずくまるしかなった。
その様子を見ていて、他の男たちまで、まるで自分が蹴られたような表情になっていた。

 「次は平助の番ね」
お雪の次の相手は、村で1番相撲が強いと言われる平助だった。
佐吉ほどではないが、大きながっちりした体つきで
秋に地頭の許へ年貢を納めに行く時など、1度に2俵の米を楽々と運んでいるほどである。
外見上はどうみても、平助が勝っている。
一方、平助の前では、お雪などは華奢な体付きだ。
平助は男で、お雪は女なので、体付きで平助が勝っているのは当然である。

 しかし、そんな平助にも、弱点はある。
あるいは男ゆえの弱点と言った方が正確かも知れない。
さらに平助の金玉は他の4人の男たちよりも明らかに大きかった。
それはふんどし越しでもよくわかる。
お雪は平助の股間のふくらみを見て、微笑んだ。

 平助はお雪と対峙した。
『今度こそは負けないぞ!』という強い意気込みを持っていた。
今までお雪の全勝記録が続いているが、
体格・体力・瞬発力では明らかに平助の方が勝っているのであるから
当然と言えば、当然である。

 試合が始まった。
平助は得意の相撲の技を生かした攻撃方法で、お雪に迫ってくる。
しかし、お雪は難なく、それをかわす。
それに、ここは相撲の土俵のような狭い場所ではなく、
神社の広いけいこ場なのである。
お雪は柔軟な身体を生かして巧みに平助の攻撃をかわしていった。

 「平助、頑張れ!」
周りからはそんな応援の声も掛かる。

 ようやく、得意技のつっぱりを命中させられる距離まで近づいた。
そして、平助の手がお雪に触れ、つっぱりが1発命中し、
お雪の体勢が崩れた。
平助は勝ったと思った。
得意のつっぱりが命中すれば、あとは数回これを繰り返すだけである。
華奢な身体のお雪には耐えるすべもない。

 しかし、その瞬間、お雪は平助の足と足の間に蹴りを入れた。
もちろん、そこには大切な男の急所がぶら下がっている。
しかも、平助の場合、金玉が大きい上に、ふんどしをぴっちり巻いてあるため、
金玉の逃げ場所がなく、お雪の金蹴りをまともに受けることになった。

 一瞬で平助は戦闘不能になり、その場に前屈みでうずくまった。
その様子をお雪は楽しそうに見つめて
「私も、ここにつっぱりしちゃおうかな?」と言って
後ろから平助の股間のふくらみに目がけて、平手打ちをした。

「ぎゃ~!」
けいこ場の平助の悲鳴が響いた。
金蹴りされた上に、金玉を平手打ちされ、
平助は佐吉以上の地獄の苦しみを味わうことになった。
顔面につっぱりを連打される痛みの比ではない。

 以前、平助は隣の大きな村との相撲の試合で、平助自身よりもずっと身体が大きく
京へ武家奉公に出たこともあるという男と試合をし、
何十発も顔面につっぱりを受けたことがあるが、
今、お雪から受けた1発の金玉への平手打ちの方が数倍激痛である。

 平助は金玉から来る地獄の苦しみと闘いながら
ただ痛みが去るのを待つしかなかった。
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