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室町期農村の急所訓練(第4話)

2010.06.22
   室町期農村の急所訓練(第4話)

 お雪は彦三郎と対峙していた。
先ほどとは違い、2人とも簡単ではあったが、武具を身につけている。

 彦三郎は村で1番木刀の試合が強いと言われている。
実際、彼の兄は京の都に出て、とある守護大名に家禄をもらい、
武家奉公を許されている。
近い将来、彦三郎も京へ出て武家奉公をする予定である。
こんな田舎にいても狭い田畑を耕すだけで、
それ以上の立身出世は望めない。

 「やっ!」
最初に勢い良く、攻勢に出たのは彦三郎であった。
お雪は防御に忙しい。
武家奉公に備えて、彦三郎は日夜、剣術の猛訓練をしている。
普通の木刀の試合で、何も特殊な訓練を受けていない田舎娘相手に負けるはずがない。
先ほどの佐吉・平助の試合とは打って変わり、完全にお雪が劣勢であった。

 「彦三郎、頑張れ!」
「お雪なんて、やっつけろ!」
そんな声援も彦三郎に届く。

 彦三郎の木刀が何回か、お雪に当たる。
「うっ・・・。」
中には防具を着けていないところにも当たっており
お雪はその度に痛みを感じていた。

 「やっ!」
彦三郎は勝負を決めようと、お雪の右腕に向かって
木刀を強く振り落とした。
お雪の木刀を落とさせるつもりであった。
しかし、それにお雪はいなかった。

 彦三郎が木刀を振り下ろすよりも一瞬早く動き、
彦三郎の後ろに回っていたのである。
彦三郎はすぐに振り返る。
お雪は彦三郎の後ろに回るだけで精一杯だったのか、
木刀の先は床に付いていた。

 「隙あり!」
彦三郎は再びお雪の右腕目がけて、木刀を振り落とす。
しかし、直前で、お雪はさっと軽く左に避け、
同時に彦三郎の股間を下から木刀で叩いた。

 「わっ!」
彦三郎は凄まじい悲鳴を上げて、その場にうずくまった。
木刀を投げ捨てると、手で自分の股間を押さえた。
お雪もそうであるが、彦三郎も足軽の使うような簡単な胴丸しか
身に付けていない。
股間を防御する防具は何も着けていなかったのである。

 その上、お雪は、木刀を彦三郎の股間を真下から突き上げるようにして
叩いていた。
こうすると、お雪の木刀が、金玉の中でも、さらに痛感神経が集中している副睾丸を
直撃することになる。
こうすれば、普通に金玉を叩かれるよりも数倍のダメージを相手に与えることができる。
この村の女たちの間では、山賊を撃退する手段として知られている。

 お雪から強烈な急所攻撃を受けて
彦三郎は何もできずに、うずくまっているしかなかった。

 武家奉公のために、防具なしの訓練をし、
木刀で何十回も強烈な攻撃を受けたこともあったが、
ここまでの激痛は味わったことがない。
以前、師範から木刀でスネに思いっきり、叩かれた時でさえ、
一刻もあれば、動くことができた。
しかし、今回は一刻経っても、とても動けるような気がしないほどの
激痛であった。

 神様は、男の子に「金玉は大切な部位である」ということを知ってもらうために
金玉をどこよりも痛く感じる急所にしたのであったが、
それゆえに、彦三郎は自分の身さえ、守れない状況になってしまった。
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