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室町時代の神明裁判(第2話)

2010.06.26
   室町時代の神明裁判(第2話)

 紛争の当事者が女である場合でも、一応、この金的神判は
自らの潔白を証明することにはつながるが、
女が股間を神子に叩かれてもうずくまらないが普通であるから、
訴訟がそんなに有利になることはない。
逆に訴訟の当事者が男の場合、神子に股間を叩かれても
うずくまらなかったら、かなり有利な材料として訴訟が進む。
わずかに残っている伝承の中でも、男は勝訴した。

 その伝承は簡単に説明すると、次のような内容である。
昔、この村の寺から仏像が盗まれる事件があった。
調査を進めていくうちに、1人の男が犯人としてみなされたが、
男は無罪を主張し、決定的な証拠もなかったため、
男の申し出により、金的神判を行うことになった。

 森川神社で定められた規則により、男は金玉が動く余地のないほど
きつくしめられたふんどしを履く。
ふんどしと金玉の間には1枚の薄い御札が入っている。
無実の者はこの御札が守ってくれるから、金玉を蹴られようが、
叩かれようが平気であるという理由であった。

 男は大きく足を開いた状態で立ち、神殿に奉納してある太い棒を持った神子が、
その男の股間を思いっ切り叩いた。
しかし、男は少し痛そうな表情をしただけで、
神子が7回叩いても、うずくまらなかった。
これでは仕方がなく、男は無罪放免となったという話である。

 お雪も神官の娘である以上、金的神判のやり方は幼い頃から
教わっているし、すでに練習では実践済みである。
最初の練習台になってくれたのは、
今は京へ武家奉公に出てしまったが、川田時継という青年であった。

 お雪は透けるような薄い羽衣だけ身にまとい、神殿に入った。
これから金的神判を受ける者に対するせめてもの敬意である。
神殿に入ると、時継と、立ち会い人の若い女が3人いた。
彼女たちもお雪のような薄い羽衣だけ身につけていた。

 神棚に向かって、祝詞を唱える終わると、
お雪は時継の前にやってきて、立ち会い人の若い女3人と共に
時継の着替えを始めた。
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